狂暴わんこのひとり占め。




「…宿代なんか、いいから…っ」


「………あ?」


怖いです。

その可愛い顔でも。


「普通に…明日まで泊まって、帰ってくれればいいから!」


「なに、紗希ってヤったことないの?」


「なんで そーなる!」


いや、私だってそれなりの経験はしてますよ!


豊富ってわけでもないけど!


「わ…たしは、見ず知らずの男と関係もつほど軽くないん…」


「……ふ――ん?」


「です…よ……?」


「紗希、おもしろいね。
別に"明日まで"ってわけじゃないし」


「いや…言ったじゃん!
なに取り消そうとしてんのよ!」



一応、まだ体勢変わってないです…。



「バーカ、あんたに決定権ねーから」


「ふぬ……っ」


なんて俺様…。

しかも初対面で。


アイスクリーム食べてた時点までは可愛いかったのに!


「ねぇ、俺さ、ほんとに帰るとこ無くて。
何日間か この家おいてくんない?」


「それはちょっと…」


「ダメ?」


「ぐっ…」


出た。出たよ上目遣い。


このルックスで それは犯罪よ…。



「じゃあ……、襲わないって約束してくれるんなら」


「……うん」


なんか、返事が曖昧な気がするけど?


「もし、襲ったら 追い出すわよ」


「へぇ?できるの?
今でさえ捕まってんのに」

「………」


そうだったわ。


私やっぱりバカなのかもしれない。



「なんか、俺 紗希みたいなタイプ、初めて。

かわいーね紗希♪」


「はい?」


チュッ


……ん?



「これからよろしく、のチューね」


「………!!」



キスをされてしまった。


口に。



体温が上昇するのが分かって、なんだかムカつく。




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