狂暴わんこのひとり占め。
コンビニへの道のりを早足で歩く。
携帯を見れば10時。
時間が時間、しかも私は暗いところが苦手だ。
近いはずの距離も長く感じる。
「………あれ?」
小さな公園の横を通りすぎようとした時、
ベンチに一人誰かが座っているのが見えた。
「こんな時間に…高校生かな?」
一人で?
ここからじゃあんまり姿が分からない。
変質者ではないことを祈り、公園へと足を踏み入れる。
少し遠くから横顔を覗く。
高校生くらいの男の子がうなだれように下を向いて 座っている。
…大丈夫かな。
死んで…ないよね?
寝てる、とか そんなとこだ。
ホームレス?なわけ無いよね。
恐怖心と好奇心が混じった感情でじりじりと男の子に近づく。
「あの………大丈夫…ですか?」
おずおずと消えていきそうな声で話しかけた。
ピクッとわずかに指先が動いたと思ったら、男の子の顔がゆっくりと上げられた。