この涙が枯れるまで
お兄さんが作った料理はハンバーグだった。
『お兄ちゃん…これ…』
『俺達が最後に食べた料理、覚えてるか?ハンバーグだったよな…母さんみたいな味じゃないけどさ…このハンバーグを食べてスタートしよう』
その言葉を聞いたナナは、泣き出してしまった。実は僕も泣きそうになった。
でも耐えた。
ナナが安心して泣けないような気がして。
僕はナナの涙を拭いてあげた。
『ナナ…食べろよ』
ナナはハンバーグを一口、口に含んだ。
『おっおぃ…ひぃ…』
『だろ?ほら優も食えって』
『頂きます…』
僕はハンバーグを食べた。
『うまっ』
『やろ?』
『美味すぎっすよ!!』
『俺をなめんなよ?どんどん食え!!』
ナナも僕も夢中になりハンバーグを食べた。
このハンバーグの味、忘れたりしないよ。
すごく愛情が含まれていたから。
夕食を食べ終え、僕は帰る準備をした。
『優、今日はありがとね!!』
『お~!!いいって!!今日はごちそうさまでした』
『いつでも来いよ?それと!!!』
『はい?』
『ナナを泣かすなよな!!』
『はい!!じゃあまたね、ナナ。お兄さん、また来ます』
『じゃあね』
『じゃあな』
僕はナナの家を後にした。