この涙が枯れるまで
僕の気持ちははっきりした。
僕は百合が好きなんだ。
話かけよう。
でもびっくりするかな。
一先ず、教室に戻ろう…
3組の前を通ると、誰かが僕を引き止めた。
『優君。』
優君と呼ぶのはあの子しかいない。
相沢瞳。
話すのはあの手紙をもらった時以来だ。
でもあの時はまともに話していない。
『お~瞳?』
何故呼び捨てかって?
瞳って呼んでって言われたから。
この前百合に百合って呼んでって言われたけど、緊張して言えなかったんだ。
でも瞳ならちゃんと呼べる。
何か不思議だな。
瞳は可愛いし、いい子なんだけど、百合みたいな気持ちにはならないんだ。
これが百合と瞳の大きな違い。
『優君?』
瞳は僕の顔を覗いた。
『あぁ…どうした?』
『全然話した事なかったじゃない?だから話しかけてみたの』
『そっか~』
『何かメールと違うね。』
『そうだね』
『ホントはすごく緊張したんだ。優君無視しそうだもん』
『何でだよ! んなわけないじゃん』
『良かった! じゃあこれから話しかけるね』
『うん、分かった』
『じゃあね』
『おう、じゃあな』
瞳は教室に戻った。
この二人のやりとりを静かに見ていた人がいた。
その犯人は、1年2組に戻っていく人。
目には涙。
そう、百合だったんだ。