この涙が枯れるまで
ある日、僕の中で一本の線が切れた。
何もないように接する百合が本当に嫌になっていた。
嫌いではないんだ。
でも百合の気持ちがはっきりしていないから僕は百合に聞けない。
ある日のこと。
学校の帰り道、百合と二人で帰っていた時、前から滝川先輩が現れたんだ。
この後、僕と百合は離ればなれになる。
『百合~元気~?』
突然滝川先輩が僕たちの前に現れる。
いくつもの、ピアスを揺らして。
『滝川先輩やめて下さい』
僕は当然のように百合をかばう。
真実を知っている僕は、それでも百合をかばう。
『なぁ、これっていくらしたの??』
僕は何がおこったのか把握できなかった。
僕達の前に差し出したもの
それは…二人のペアリング。
僕のではない。
僕ははめていたから。
という事は百合のモノ。
でも今日百合は確か指輪をしていたはずだ。
そして僕は百合の左手を見る。
確かにしてある。
僕は先輩から指輪を奪った。
指輪の内側に、百合と僕の名前が確かに刻んであった。
これは僕が百合にあげた指輪。
じゃあ今百合がしてる指輪って…?
『百合、指輪貸して。』
『……………』
『貸せない理由でもあんの?』
僕はキレそうになったが、百合を怖がらせちゃいけないと思って抑えた。
『貸して』
百合の左手にある指輪を無理矢理外す。
ちょっと強引かもしれないけど、我慢して。
『優君!!やめて!!』
『何でだよ、見せれねぇ理由でもあんの?』
僕は百合の指輪を見た。
名前が刻まれて…ない。