シルバーウルフ -Is this love?-
オレンジ色の牛丼屋の先で停めた。




  俺は歩いた。





百貨店のシャッターは開いていた。



通り過ぎてく誰もが幸せそうだった。



ずぶ濡れのチャイニーズ嬢はただの景色のようだった。





  俺は近付いた。





チャイニーズ嬢は何かを悟(さと)ったようにうつ向いている。



長い髪で表情が見えない。





  俺は立った。





チャイニーズ嬢の目の前、濡れた髪をかきあげて俺は顔をゆっくり見つめた。







「おい、行くか?」

8つ目のブースを出る時と同じように、ぶっきらぼうに投げ掛けた。



顔は上げたものの、やっぱり、返事をしないチャイニーズ嬢。






……いや、出来ないのだ。







LET IT BE.(そのままにしておきなさい。)



そう告げられたようにチャイニーズ嬢はずっと、ここで雨粒に打たれていた。






杖を持っていない方の左手を掴んだ。




朝と違って、硬く冷たかった。




俺は上着を脱いだ。




着せてやった。









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