溺愛キング
そんな矢耶に気付いたのか藍は、焦りだした。


「矢耶!悪かった。ほんとに反省してる。とりあえず風呂あがってから話そ?だからちょっと待って」


けど、そんなの今の矢耶には通用しません。

怒りがピークにたっしていた。

藍の言葉とか耳にすら入ってなかった。


『もういいもん……。藍なんか、だいっきらい!知らない!勝手にすればいーじゃん。家出してやるっ!ばーかっ!!』


バタンッ―――――……!!

わざと音をたててドアを閉めた。

浴槽に入ってた藍は勢いよく立ち上がり


「矢耶あああ!!」


夜なのに思いっきり矢耶の名前を叫んだ。

風呂場だからものすごく響く。

近所迷惑も甚だしいよ。

叫んだら矢耶が止まるとでも思ったのかな?むしろ怖くて逃げるよ…。

藍の声なんか気にもせず、真っ直ぐ玄関に向かって走った。

一番手前にあった、藍とお揃いのつっかけを履いて外に出た。


もう冬になろうとしている時期だ。

外は肌寒かった。

しまった…上着持ってきたらよかった。

って、、、、

そんなこと考えてる暇はない!!

藍が追い付いちゃう。

その前に逃げなきゃ。

あてもなく走った。


翼や海亜のとこに行ったって意味が無い。

すぐに見つけられちゃう。

どこ行こう。たまり場??

ううん、もっとダメじゃん。

藍に連絡がいっちゃう。

どーしよう…

あっ!正司のとこ?けど、たまり場にいそう…

って、、、

携帯も持ってきてないから連絡出来ないじゃんかぁ~
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