約束
受験
夏が終わり俺たちは、それぞれの場所へと戻り新学期を迎えた。


「はぁ〜、なんか、あっという間だったな…」

制服に着替えながら俺は、和也と陽介と過ごした夏休みを思い出していた。

「また、遊べるといいな。」

そう口にしたとたん

「なんだ?寂しいのか?」

突然、聞き慣れた声が後ろから聞こえ

「…はぁ、ノックしろよな。」
「したぜ?何回もな。お前が思い出に浸ってるから聞こえなかっただけだろ?」

ドアに寄っ掛かりクスクスと笑いながら龍司は、言ってきた。図星だから俺は、言い返せなかった。

「……」

ところが…

「なっ、なんだよ?」
「いや、結局。三年間、お前は、変わらなかったな。」

そう言いながら龍司は、俺の身体をじっと見た。

「…嫌みかそれは…」
「いや、可愛いままで良かったと思っただけ…」
「…お前は、変わったよな。」
「…えっ?」
「背も性格も…そして、何より…強くなった…」
「…うーん。まぁ…な。」
「……」

俺は…知ってる。龍司が大きくなった理由も強くなった理由も…


鞄を持ちゆっくりと龍司に近寄る。

「…ありがとな。」

ただ、一言。俺は、龍司に告げ下へと降りた。

「…これからも…お前は…俺が守る…」



後から追いかけてきた龍司と一緒に俺は、学校へと向かう。

「それにしても、俺たちって凄くないか?」
「はっ?なにが?」
「中学入ってから三年間、同じクラスだぜ?やっぱ通じ合ってるんだろうな♪」
「…嬉しそうに言うなよな…」

笑顔で言う龍司に俺は、さらっと言い返す。すると

「なんだよ、皐だって嬉しいくせに。」

俺の肩に腕をのせて龍司が聞き返してくる。

「…別に。それよりどけよ。重い。」
「やだね。」
「……」

そんな俺たちのやり取りの間に

「皐!龍司!」

クラスメイトで唯一、俺たちが仲良くしている立花由岐が声をかけ走ってくる。
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