約束
「「……」」

暖かい…人の…イヤ…龍司の体温…いつも俺は…この暖かさと優しさに助けられていた…

「たくっ…まだ、辛いくせに…たまたま、見つけたからって…あんな場所、1人でいるなよ…」
「……」
「しかも、寝やがって…」「悪い…」
「…もう…するなよ?心臓に悪いからな…」
「ああ…」

龍司は、ギュッと優しく抱き締めた。まるで俺を失わないように…

「龍司…はさ…なんでいつも俺のそばにいてくれるんだ?」
「……」

俺の突然の問いに龍司は、一瞬黙ったが

「そんなの…決まってるだろ?皐が好きで大事だからだよ。」

すぐに優しいいつもの声で答えてくれた。それが今の俺には、凄く嬉しかった。

「いいか?親父さんとの思い出の場所に行きたいなら絶対に1人でいったりするな!必ず、俺に言え!わかったな!」
「ああ、わかったよ。お前と一緒に行くよ。」

そして、俺たちは、久しぶりに2人で眠った。


次の朝、俺たちが一緒に寝ていたことを知った和也に

「お前ら…ホント、仲がいいのな。」

溜め息をつかれ呆れられながら言われてしまった。

(…いつか…こいつらにも話せるようになるのかな…親父のことを…)

そう思いながら俺は、親父のことを胸にしまい込んだ。


それから俺たちは、海や花火など男だけで夏休みを楽しんだ。

そして、俺たちの夏が終わり最後の学校生活が始まるのだった。
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