腕いっぱいに抱きしめて
ねえ田村。
ダメだよ。
田村の存在大きすぎだよ
何、泣いてるのよあたし。
ダメじゃん。
家族のためなってないよ。
あたし弱すぎる。
最低。
好きもクソもない。
もうあたしは汚れてる。
田村にふさわしい女にはなれない。
知らない男とヤったふしだらな女だもん。
気付いたら、あたしの目からは大粒の涙が溢れていたんだ。
そして遅かった。
もうこのとき、事件は始っていた。
あたしは取り返しのつかないことをやったんだって後で思い知らされるとも知らずに。
あたしはただ呆然としていた。