新撰組~変えてやる!!

 「………同じじゃねぇか……それ、俺らが“上”に頼まれてたてた計画と、全く同じだ。……ってことは、だ。おめぇが言いてぇのは、“自分がここにいることで、歴史を変える”かもしんねぇ。だから、“どうすべきか、教えて欲しい”と…。」

 葵は、土方の言葉に頷いた。

 「…好きにすりゃあいいさ。おめぇはこの組のことを考えて行動したらいい。結果は、後からついてくるもんだ。そうだろ?今回だって、本当は2人を救いたかったんだろ?違うか?」

 「…そうですね。しかし、自分がいることで歴史が変わってしまう。今はまだ、小さな歪みでも、やがては大きな歪みになるでしょう。私は、この組を…私を認めてくれる皆を守りたい!!歴史が変わったとしても!」

 土方には一瞬、時が止まったかのようにさえ思えた。話しきった葵の声は震えていたが、その瞳はいつも通り強い光をたたえていて、揺らぐことなく土方の目を真っ直ぐに見ていた。

 「小宮…お前がそんな必死になるってことは、俺達は、そんなにむごい死に方をしたのか?」

 土方はうかがうような視線を葵に向けたが、葵は土方の目を見たまま、動かなかった。まるで、答えるわけにはいかないとでも言うように。数分間、沈黙が続く。

 「……………まぁ、何でもいいさ。お前も隊士のままじゃ、何かと行動しづれぇだろ?処遇を考えといてやるよ。」

 土方は溜め息をつきながら頭をガシガシと掻いた。部屋の前が騒がしい。

 「…っと、あいつらが帰ってきたみてぇだな。俺は部屋に戻る。っても、隣だがな…。何かあったら呼びな。」

 そう言って、土方は立ち上がり襖の方まで歩いて行った。そこで何かを思い出したのかポンと手を叩いて振り向いた。

 「永倉には、後でここに寄ってくように言っておくからな。」

 そう言って、土方は出て行った。葵は“それだけを言う為だけにわざわざ振り向いた”という事に、笑いが込み上げてきた。

 「別に、いいのに…」

 暫くしてから永倉がやってきた。葵はただ淡々と、手紙を渡した。土方に相談してみたところ、野口達3人には、朝食の時に渡しておいてくれるということから、手紙は土方に預けておいた。残る手紙は、あと2枚だ。明日にでも、届けようと思いながら葵は、静かに眠る山崎の艶やかな黒髪を眺めていた。


 
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