新撰組~変えてやる!!

 「あ、危ないとこやった…副長!!何で門番を永倉はんと斉藤はんがしてんねん!!一切聞いてへんで!」

 「うっせぇ!!こっちにだって色々あったんだよ!!」

 葵は簪を取り、帯をほどき始めた。

 「ばっ…何やっとんねんな!!」

 「煩い。幸人、言い争いしてるだけなら着物取ってきてよ。」

 葵は髪をほどき、下の方で軽く結んだ。

 「わ、分かった。すぐ持ってくるさかい待っときや!!」

 葵は手を止めることなく頷いた。山崎が天井裏へと消え、数十秒後に戻ってくる。

 「も、持ってきたでっ!!」

 「ありがと…」

 葵は手の甲で口を拭った。そしてしっかりと男に見えるように着物を着た。隊士達がぱたぱたと広間に走って行く音が聞こえる。

 「よし。じゃ、俺は一とぱっつぁんを呼んでくるよ。」

 葵は門へと向かった。

 「ぱっつぁん!!一~!!夕食の時間だよ~!!一緒に行こ~♪」

 「おおっ!!やっとか~腹減ったぜ~…ったく副長もひでぇよな~……なあ、斉藤もそう思うだろ?」

 永倉はおどけるように言った。

 「……俺は巻き添えを食っただけだ。」

 「なんでぃ…俺はそんな悪いことしてねぇよっ!!」

 永倉は子供のようにプクッと頬を膨らませ、そっぽ向いてしまった。

 「そう言えば、どうして門番させられてたの?」

 「聞いてくれるか!?実はなっ、」

 永倉は噛み付くような勢いで話し始めた。が、速すぎて聞き取れない。斉藤が横から首を出し、ぼそっと呟く。

 「要するに馬鹿ということだ。」

 葵はクスッと笑い、永倉の話を聞き流しながら歩いた。


 
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