新撰組~変えてやる!!

「ぁ…一本。勝者、小宮 葵。」

土方の声が辺りに響いた。葵は、藤堂に一礼をし、土方に木刀を渡した。その直後、‘ドサリ’と、鈍い音がした。その方向をみると、先程まで打ち合っていた藤堂が、座り込んでいた。

 「と、藤堂さん!?大丈夫ですか!?どこか、怪我しましたか!?」

 葵は慌てて座り込んだ藤堂と視線を合わすようにしゃがんだ。だが、葵の予想とは裏腹に、藤堂は、声をあげて笑いだした。

 「と、藤堂さん?―」

 「ははっ、はははっ!…強いねぇ…びっくりしたよ…僕は、藤堂 平助!えっと…入隊希望なのかな?ははっ、よろしく!!」

 「よ、よろしくお願いします。」

 葵は、周りに居る永倉、土方、近藤を見まわした。“本当に入隊できるのだろうか。”と…。永倉は、信じられないといった表情を。近藤は、優しい笑みをたたえている。一方、土方は、眉間に皺を寄せて考えているようだった。

 「あ……の…、土方さん?」

 「ぁあ!?なんだ?」

 葵は、一瞬ビクッと身体を震わせた。そこに、近藤が困ったような顔でフォローを入れた。

 「すまないね、小宮君…歳はこういう奴なんだ。君が思っているほど、怖くは無いと思うよ?」

 「いえ、それで…その…」

 葵が言いにくそうに言葉を詰まらせたのをみて、近藤が口を開いた。

 「歳…私の部屋へ行こう。立ち話もなんだからな。」

 「……分かった。来い!!」

 土方が葵の腕を掴みそのまま歩いていく。永倉と藤堂は、ポカンと口を開けて葵達を見送っていた。

 「いてて…土方さん、力入れすぎです……。」

 「うっせぇ!黙ってろ!!」

 近藤は、葵と土方の後を苦笑いしながらついて行ったのだった。
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