結婚指輪をぶっ壊せ!
上田先生が入って来る玄関は生徒玄関の真ん前で、時間さえ合えば先生と挨拶ぐらいは出来るようになっている。
そのお陰で私は毎日毎日、先生と挨拶出来る。
多分、毎日先生に挨拶してるのは私ぐらいなんじゃないかと思うこともあった。
「ん?どうした?」
先生が私に話し掛けてきた。
「へ?」
私は先生の「どうした」の意味がよく分からずにそうとしか言えなかった。
「いや、珍しく笑ってたから」
そういうと先生は職員用の下駄箱へ歩いていった。
「・・・先生!」
「ん?」
「私が笑うのって珍しいですか!?」
正直、我ながら上田先生の前では緊張して笑っていない気がしたりする。
だから私は、思い切って大きな声で先生に聞いた。
上田先生は少し悩んでから、こう言った。