君に歌って欲しい歌
「おじいちゃん…」
「んー?」
「相手のこと、知りたいって思うんだけど、それは多分知っちゃいけないことで、あたしも知りたくないんだけど、でもでも、やっぱり知りたい時はどーしたらいいと思う?」
知りたいけど、知りたくない。
知っちゃいけないだろうけど、知りたい。
我ながら変な質問だ。
んー?とおじいちゃんは、考え始めてくれた。
答えなんてないよね…ごめんね、変な質問して。
「相手に聞いてみたら、ええんちゃう?」
え?
「自分が知りたかったら聞いたらええ。聞いたらあかんことって、その人にとって、きっと大事で苦しいことかもしらんやろ?その時は、紗優が聞いて、受け止めてあげたらええ。でも、無理して聞いたらあかんで?」
おじいちゃん…
そっか、聞いてあたしが受け止めてあげたらいいんだ。
あの切なそうな顔をさせないために。
あの悲しい歌を歌わないように。
「あたしにできるかな?」
「できるよ。紗優は優しい子って、おじいちゃん知ってるから」
そう言って、おじいちゃんはあたしの頭を撫でてくれた。
「ありいがとぅ…」
やっぱり、おじいちゃんは優しい。
いつもあたしの不安や悩みを取り除いてくれる。
おじいちゃんに話すと、ほっとする。
ありがと…おじいちゃん。