トレイン


4年という月日はあっという間だった。お互い人事異動で配属する店舗も変わり、働く地域も別々になった。それでも僕たちは休みの日になると必ず会ってデートをし、一年に一度は有給を取って旅行にも出掛けた。今回の箱根も、去年旅行に来たときに、リカがまた行こうねと嬉しそうにいっていたから、僕は今年も迷わず箱根の宿を予約したのだ。

幸せだった。年を重ねるごとにリカの存在は僕の中で大きくなり、大切な心の支えになっていた。
社会人になって不安で胸が苦しい時、いつもリカが隣にいた。少し童顔で無邪気なリカの笑顔は、僕の強がりな心を優しく包んでほぐしてくれた。
何気無い日常の風景が、リカがいることで、キラキラと輝いて見えた。
僕は生まれて初めて、自分より大切な人間と出会えた気がした。

このまま何も変わらず、幸せな時が続けばいいと思っていた。いや、続くものだと信じて疑わなかった。
もちろん、リカも同じ気持ちだろうと思って・・・・・。


子供だった・・・・。


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