雪峠


肩で息をする沖田は、支えきれなくなった体を地べたに座り込ませた。


激しい咳と共に、口の中に広がる生暖かいモノ。

それは、沖田の最後が近づいている証拠でもあった。



「猫も…猫も突けない……」


譫言の様に呟き、だんだんと掠れゆく視界を空へと向ける。





「近藤さん…土方さん…、私ももう、そちらに逝っても…いいですか?―…」



そしてその言葉を最後に、ゆっくりと瞳を閉ざす。

















青年はもう二度と、眼を開ける事はなかった―…。








はらはらと舞い散る桜は、彼の死を悲しむかの様に、ゆっくりと花びらを散らせていった…























享年25才。
若すぎる天才剣士の死だった。














< 11 / 13 >

この作品をシェア

pagetop