恋色物語
第1章 春
電車で。
「あかり~、次クレープ食べない?」
「うん!!食べる~~!!」
私は、瀬戸あかり。
高校2年生。
好きな事は、休みをのんびりと過ごす事。
そんな私は今日、友達の田川美奈と買い物に来ていた。
別に来たくて来た訳じゃない。
けど、友達は大切だと思うし、ここで誘いを断って学校での関係が悪くなるのは嫌だ。
だから、とりあえず来た。
小学生の頃の私は、自分で言うのも変だけど
きっと、もっと明るくて
もっと心優しくて
もっと人を好きになれて
そんな女の子だったと思う。
別に、不幸な出来事が私に降りかかったとか。
好きだった人に酷い事を言われたとか。
イジメられたとか。
そんな事があったんじゃない。
気が付いたら、心の奥底で人を拒むようになっていた。
友達や家族は居るけれど
「親友」
と呼べる存在も、
「好きな人」
と呼べる存在も
「彼氏」
と呼べる存在も
居なくなっていた。