果てない恋色空



「別に
名がなくて困ったことはない。

しかもここはもう出ていくし
名があっても…」





「………あんたの名は、柚子(ユズ)、だ。」




そう言ったのは
食事をもってきた、

雪野だった。




「あ?」



後ろを振り向き
雪野を見た。




「さっき中庭から

柚子の香がしたから」



「………い、いいね!!
なあ、平助?」


「おう!

オマエっぽい名だ」





「即席の名か…」



私は呟いた。





< 15 / 62 >

この作品をシェア

pagetop