こんな僕たち私たち
 七緒はというと、頭上に「?」マークを浮かべた相変わらずのきょとん顔で禄朗の言葉を待っている。

「七緒先輩、24日お暇っスか?」

 嫌な予感、大的中。

「もしよかったらっ、オレと一緒にチョコレートケーキ食べたり鶏の唐揚げ食べたりクラッカー鳴らしたりシャンパンもどきの炭酸飲料飲んだりツイスター☆ゲームしたりしませんかっ?」

 へぇ禄朗ってば不良ぶってるくせにクリスマスパーティのイメージはわりと古典的、そしてケーキはチョコ派なのね―――――じゃなくて。

 またまた誘われてしまった東七緒君。24日、アイドル並に大人気だ。

「あー…残念だけどその日部活で、その後も予定が…」

 と、申し訳なさそうなアイドル。

 「その後の予定」は私との約束で、それを七緒がちゃんと覚えていてくれた事が、禄朗には悪いけどほんの少しだけ嬉しかった。

 が、しかし。

「あ、そーだ心都」

「ん?」

 笑顔を輝かせた七緒の提案は、私の思考を吹っ飛ばした。

「24日のパーティ、禄朗も呼んでやればいーじゃんっ」

「え」

「人数増えた方が盛り上がるし」

 私には、くっきりと見えた。クリスマスツリーの前、七緒を巡って火花を散らす私と禄朗の姿が。

 それはかなり信憑性の高い未来予想図。

 とてもじゃないけど今まで夢見てきたイヴとはかけ離れすぎている。

「で、でもさ…えっと…あ、美里と田辺にも聞いてみないとっ」

「あいつらには俺から言っとくよ。多分納得してくれんだろ」

 ――な、何か今日はやけに押しが強いじゃない。

 あぁ七緒の笑顔が眩しい。本当に眩しい。もう眩しすぎて涙が出てくるよ。

「マジっスか七緒先輩!こ、光栄っス!」

 よく見たら禄朗も泣いていた。ただ私と違うのは、頬を伝うそれが明らかに嬉し涙だという事だ。

「ダメ元で言ってみてよかったっス。クリスマスイヴを七緒先輩と過ごせるなんて夢みたいっスよ…!」

 本当に、夢である事を望まずにはいられない。

 もし、夢ならば、お願い。

「さ、覚めろ覚めろ覚めろ覚めろ〜ぉぉぉ」

 低音でそう呻きつつ頬をつねると、やっぱりと言うべきか、痛みが走る。

 どうやら夢じゃないらしい。
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