こんな僕たち私たち
 強靱な妄想力により、クリスマスイヴの予想図は更に膨らむ。

 禄朗と仲良くケーキを食べる七緒。禄朗と仲良くシャンパンもどきの炭酸飲料を飲む七緒。禄朗と仲良くツイスター☆ゲームを楽しむ七緒……(エンドレス)。

 そしてその傍らには、闘いに敗れ独り寂しくジャ●おじさんの物真似に励む私。

 ……わぉ。虚しい。虚しすぎる。

「七緒先輩は何ケーキ派っスか?チョコっスか?クリームっスか?それとも意外なとこでモンブランっスか?」

「何か層になってるやつ」

「ミルフィーユっスね!さすが先輩、いい意味で予想を裏切る返答っス!」

 孤独感に苛まれる私の耳に。

「でもあれって綺麗に食うの難しいっスよね」

「いくら上下左右バランスよく食っても絶対最後ぼろっぼろに崩れるもんな」

「美味しいのに勿体ないっスねー」

「うんうん」

 聞こえてくるくる。仲睦まじいお二人の甘ーい会話。

 ……っていうか。

「……馬鹿話。」

「あ゛ぁ!?何だとボサボサ」

 ぎん、と禄朗がこっちを睨む。

 最初に会った時は呆然としていた私だけど、今朝から何度も睨まれているせいかもう恐怖心は感じなくなっていた。その目の鋭さにも、センス0な私の呼び名にも。

 何というか、慣れってすごい。

「私は『意外なとこ』のモンブラン派ですって言ったの」

 でも栗ご飯は嫌いだ。甘さ×白米のコラボレーションはどぉっしても体が受けつけないから。

「誰もお前の好みなんか聞いてねぇし。しかもさっきから『とっとと帰りやがれ』みたいな目で見てんなよ」

「けっ」

 …以前にも増して自分がひねくれてきているのを感じる今日この頃。

 つまり、馬鹿話だとかモンブラン派だとかはどうでもよくて――私が言いたい事は1つ。

『七緒とベタベタしないでください』。

 もちろんそんな告白っぽい台詞を口にできるはずもなく、自分の中のわがままな嫉妬心を目のあたりにして落ち込むばかりだ。
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