渇望-gentle heart-
「十分だよ、それだけで。」


今まで散々、ろくでもない毎日を繰り返してきた。


けれどもう、いい加減自分を見つめ直し、何かで代用するように孤独を埋めるようなことはやめなければならないのかもしれない。


我慢するのは苦手だけれど、でもそうじゃなきゃ大切なものを見失ってしまいそう。


泣きながら笑ってから、どちらからともなくキスをした。


その刹那。


ピンポーン、と鳴り響いた、チャイムの音。


まだ夜も明けきっていないようなこんな時間に一体誰だろうと、ふたり、怪訝な顔を見合わせる。



「誰だ?」


「わかんない。
オール明けの若菜だったり?」


そんなことを言って、体を離し、あたしは邪魔をされて不貞腐れながらも、玄関に向かった。


扉を開けたその瞬間、まるで景色はスローモーションのように流れてく。



「警察だ、お前ら動くな!」


「令状により、この部屋を捜索するぞ!」


体格の大きな男達が部屋へと雪崩れ込んできて、考えるより早くにあたしは、それを防ごうと動く。



「流星、早く逃げて!」


「香織!」


「良いから早く!」











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