渇望-gentle heart-
真夜中にカーテンを開けて、窓越しに闇空を見上げ、煙草の煙を吐き出した。


机の上には散乱した睡眠薬や、怪しい錠剤が転がったままだ。


一体何が悲しくて、こんなものに頼りながら、満たされない心を埋めなければならないのだろうか。


流れ星は、今日も見つけられないね。



「絵になるね、そういう姿。」


振り向けば、一糸纏わぬハルが、淡い月明かりに照らされながら、笑っていた。


あれから、彼とこういう関係になるのだって、そう時間は掛からなかった。


この街でのセックスなんて、簡単なものだ。



「何か探してるの?」


「そう見える?」


聞いたのに、答えはない。


代わりにハルは、これ貰うね、なんて言い、机の上に散乱する朱色の錠剤を手に取った。



「意外だね。
アンタもそういうのやってんだ?」


「これがないとクラブ行っても楽しめなくてね。」


「てかそれ、高いのよ。」


知ってるよ、と彼は笑う。


クスリで形成される人間関係だけが、あたしにとっては唯一心を開ける場所。


結局こんなものに頼るあたし達はみな、寂しいのだ。



「そういや香織ちゃんって、大学生なんだっけ?」

< 86 / 115 >

この作品をシェア

pagetop