出来ちゃった恋愛
いやぁ~、さすがにナイって。



付き合ってもないわけだし、ユズとは一夜限りだし。



それ以前に俺、カワイイ彼女いるし。



「堕ろすよな?」

「…………」

「ユズ…?」

「だよね。明日病院行ってくる。同意書もらって来るから」



それだけ言ったユズはクルッと向きを変えて走って逃げた。



後を追う気力なんかなくて、ただその場に立ち尽くしてる俺が思ったこと。



「金…ねぇな…」



バイトも単発でやるだけの俺にまとまった金なんかなくて。



でも男として責任はとらなきゃとか。



そんな客観的なことを考えた。



周りではガキが出来たなんてヤツがいなくて、知識すらない俺は家に帰ってのパソコン前に座った。



堕ろすって…中絶って言うんだっけ。



検索ワードに『中絶費用』と入れ、出て来た病院をクリックした。



早ければ安く、遅ければ高い。



10万前後…。



シャットダウンをしてから財布の中を見た。



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