きみがため
*心にともしび

「近頃妙に楽しそうにしているじゃないか」


そう声をかけて来たのは、真面目一筋、鬼の副長。


「歳さん」

「その呼び方は止めろと言っているだろう」

「すみません、土方さん」


僕は柔らかく受け流すように、にっこりと笑う。


「お前この頃、やけに熱心に見回りに出ているな」

「やだなぁ、以前から僕は熱心ですよ」

そう言って笑いながらも、内心ではギクリとしていた。

土方さんはしばし僕の目を見つめた。
< 14 / 71 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop