きみがため

それなら尚のこと、僕には必要のないものだ。
我が身を可愛がる気などさらさら無いのだから。


「僕に“お守り”なんて必要ないですよ。新撰組に入隊している時点で、全ての覚悟は出来ていますから」


けろりとした顔でそう言うと、目の前には見たこともないくらい悲痛な表情の八重が居た。


「そんなこと、おっしゃらないで下さい……」


段々小さくなっていく声に、胸がきつく締め付けられる。

どうやら八重を傷つけてしまったらしい。

どう声をかけるべきか悩んでいると、八重が小さく呟いた。
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