恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
「不良に戻ったら、彩香さんとの出逢いを悪く言われるかもしれない。
彩香さんがいたから、自分は今も正しい生活ができてるって、身を持ってお父さんに認めさせたいからでしょ?
今の自分は彩香さんがいてくれたおかげだって……、それだけを証明したくて、3年間ずっと優等生を演じてきたんでしょ……?」
“違いますか?”そんなニュアンスで聞く。
先輩は、無表情のまま目を伏せていた。
梅雨の空からは、今にも雨が落ちてきそうだった。
湿気を多く含んだ重い空気。
そんな中、先輩が呟くように言う。
「証明……。そうなのかもしれない。
でも、俺は唯の言うような強い気持ちで、この3年間過ごしてきたわけじゃないよ」
先輩は、つらそうに微笑んであたしを見た。