恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
「もちろん、唯の言ったような気持ちもずっと持ってた。
彩香が必死になって正してくれたっていう事実を、親にも認めさせたいって思ってたよ。
それをどんなに言葉で言っても聞き入れてもらえないから、それなら態度で示すしかないって。
でも……、それだけじゃない」
先輩が搾り出すように言う言葉を、黙って聞いていた。
隣にいる都築くんも、本宮先輩をじっと見つめてた。
「怖かったんだよ。彩香がいないって事を認めるのが」
「……どういう意味ですか?」
「また道を踏み外したとしても。3年前みたいに、彩香は俺を止めには来ない。
それを認める勇気が、俺にはなかったんだ……。
だから、彩香に注意される部分なんかないくらいに、完璧を意識してた。
もう、彩香は俺の前には現れないんだって事を認めたくなくて……、目の当たりにしたくなくて。
ずっと……、完璧に演じてたんだ」