それでも好き
土曜日、映画当日。


あたしたちは、駅で待ち合わせした。


「あれ?誰もいない…早く来すぎたかな?」


五分後…


「翠!」


えっ?


後ろを振り向くと大森君がいた。


「お、おはよ!」


大森君の私服は予想以上にかっこ良かった。


「おはよ!」


き、気まずい…(;_;)


なんか話題出さなきゃ。


「し、私服かっこいいね!」


「翠、そのワンピース似合ってる。」


大森君が真顔で言うから、顔が赤くなった。


そんなに真剣に言われると、照れるんですけど…


あたしが勝手に舞い上がってると、大森君があたしを呼んだ。


「み、翠。」


「えっ!な、何?」


「真剣に聞いてほしいんだけど…」


大森君があたしに何か言いかけたとき、


「翠ー!大森君ー!」


「葵!」


なんか葵、今日私服に気合いが入ってる。


花柄のワンピースに栗色のベスト。


あっ!大森君、何か言いかけてた!


「で、大森君、何?」


そう聞くと、大森君は少し拗ねたように


「なんでもないっ」


と言った。


なんか怒らせちゃったかな…


しばらく待つと、大森君の友達、石川望君が来た。
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