ひとかけらの恋
「美晴……。」





グイッ…!!





えっ…………?





私は翔に腕を引っ張られて、体を引き寄せられた。




「ありがとう…………………………。」




翔は私の腕を掴んだままで、私の耳元でそう囁いた。




『ありがとう』……………。




その言葉は、私にとっては最高の言葉……。



「あたしも……ありがとう。」




私は静かに、ゆっくりとそう言った。





【まもなく、2番線急行電車、発車いたします。】





ホームにアナウンスが流れた。






………今度こそ、お別れだ…。




電車からいったん降りていた翔は電車に乗った。




その瞬間扉がしまった。



そして、電車がゆっくりと動き出す。









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