ひとかけらの恋
私は電車が進む方に少し小走りで追いかけた。



翔はそんな様子を乗車口の窓からずっと見ている。



すると翔が何やら口を動かし始めた。




「……えっ?何………??」




私は加速していく電車を追いかけながら、翔が何を言っているのかを必死に見続けた。



次第に翔が何を言っているのかがわかってきた。





「ま…た…あ…お…う…な…。…げ…ん…き…で…な…………?」




私は翔の言葉をわかった後、電車はさらに加速して一気に走って行ってしまった。



私は追いつけなくなり、走るのをやめた。




「……っ、ハァ、ハァ……。」





私はゆっくりと息を調える。




電車はどんどん遠くなっていく。



私は電車が見えなくなっても、電車が見えなくなった所を見続けていた……。











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