籠球姫
「おう。あ、これお前のか?」
「あー!!よかったぁ、なくしたと思った…。」
なぜか目に涙を溜める彼女

「どした?」
「ごめ…ッ。うれ…しくて…。」
声を出して泣き出した彼女の頭を撫でた

「大切なんだな、それ。」
「うん。まじありがと。」
「赤…好きなんだな。」
彼女の姿を見て言った
バッシュも赤、練習用のTシャツも赤、髪を結んでいるゴムまで赤だった

「うん!赤は桃愛のラッキーカラーだよ☆」

「…桃愛っていうんだ。」
桃愛は驚いたような顔をして
「え、私いま自分のこと桃愛って言った!?」
頷くと桃愛は顔を赤くして
「今の忘れて!今日から“私”って言おうと思ってたのに…。」
「へぇ、まぁ俺の前では桃愛って言ってもいいけどなー。」

「絶対からかってるでしょ!」
「まぁ怒るなって。顔まで赤くなってタコみたい。」
「ばか!やめてよ!」

「言い忘れてたけど、俺、山本瞬。よろしくな。」
「私、野崎桃愛。一応よろしく。」

「じゃ、フリースローで勝負しようぜ。」
「負けたら腕立て200回ね?」
上等だ、と言いフリースローを始めた

…完敗

「ふぅ…こんなもんかな?」
「お前、うまいんだな。」
「小1からやってるもん。パパもママもお兄ちゃんもバスケしてるよ。」

「バスケ一家だな。俺の親は脂肪だらけのおブタちゃんってとこ。」
桃愛は笑った
俺も笑った


これからの中学生活、なんだかたのしそうだ
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