勝手に好きです!

足音に足音。玄関の開く音がやっと私に認識出来る近さに近付く頃には、鯛を刺身にし終えた所で、盛りつけたお皿を両手で運んでいると、リビングの方から声が聞こえた。

「豊!あなた仕事中でしょ!何してんのよ!」

蓉子さんの声。いやぁ、蓉子さんあなたも仕事中の筈では!そして、そのツンツン具合!間違いなくツンデレ属性ですな!

「陽斗君が外で乾燥した煮干しみたいになってたからね~」

「陽斗?あらいたの?」

「……ね、姉さんは」


全く噛み合わない会話の後、私は刺身の盛り合わせを持ってリビングに向かう。これは良いタイミングだ!早く確認せねば!

「お父さん!真さん次はいつ来るのっ!」



「いや~、真夏すごいじゃないかその刺身、今日はお祝いかい?」

「姉さん!」

「ん?陽斗君良かった、みずみずしくなったね~」

「鯛はね!釣ったのよ!そして貰ったの!」

「それより真さんはっ!」


怒涛のスクランブル会話か!


< 32 / 54 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop