勝手に好きです!

「やっぱり真夏ちゃんは上手ねぇ」


感心しながら私の手元を見る蓉子さんに気恥ずかしくなりながら、へへ、と笑う。


「豊も得意なのよね、悔しい事に。……ん?」

豊、はお父さんの名前。蓉子さんがそう目を細めて言った時、何故か言葉を止める。

「これはっ!!!」

そう叫ぶとクワッと瞳を見開いた。え、蓉子さん??


「豊の足音ね!!!!」

そう言った次の瞬間には蓉子さんは玄関に向かって走り出していた。


ええ!?


私の耳には何も届いてませんよ!ましてお父さんの足音なんて分かるんですかね!?
それは、蓉子さんに『変態』と言わしめたハルの『匂いで分かる』部類と一緒ではないでしょーか!!





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