チャンピオン【完】
「そーだけど! ありがとうだけど! ちょっと黙って!!」
私は小声で叫び、貴丸に向かって口に人差し指を当てた。
しかし、待てよ...
「なにしてんの? 誰かいんの」
良いこと思いついた。
「中に! 泥棒いるみたいなの!」
「え」
「鍵かかってるから! 蹴破ってくれない!?」
「... いーけど。壊したら一郎怒んねーかな... しらねーよ?」
私は忘れて来たTUTAYAの包みを貴丸から受け取り、横に退いた。
気配を気付かれたらしく、中から声がした。
『何奴!? いかん! ここは俺に任せて逃げろ!!』
その言葉が終わる前。
貴丸は数歩下がり、勢いをつけて扉に蹴りかかっていた。
ビョオオオ!!
会長室の開いた窓から風が吹きこみ、カーテンが翻っている。