チャンピオン【完】

が、私の予想は裏切られた。


「遅いよ、詩ぁ... あっ、おめかししてたの? じゃあ、しゃーないか♪」

関係ない兄貴だけが相変わらず浮かれている。


私がお待たせしていたらしい貴丸は、いつもの無表情に戻ってはいたが、いつものジャージ姿ではなかった。


ただのシンプルなVネックのカットソーにジーパンだ。

体格が良いから、そんなものでも着こなして見える。


なんだか重そうなクロスのついたネックレスとこれまた重そうなドクロの指輪が如何わしいだけで、普段はしていないワックスで散った髪は悪くない。


どう見ても堅気のサラリーマンではないが、これなら一緒に歩いても恥ずかしくは、なさそうだ。



「... なんか、私」

私はセーターの襟をつまんで自分の格好を上から見てみた。



... それより、私がヤバいんじゃね?

もっとちゃんとお洒落するべき?

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