君の御影に見た滴
かわりゆく
歳を一つ重ねて、僕の身長はぐんと伸びた。


十センチは伸びたのではないだろうか。


今までは同じ学年で一番か二番目に低かった背は、並くらいになっていた。


「もう十五歳か」
 

誕生日の日、車輪に一番に報告に行った。


彼女は家の窓から顔を出して、頬杖をついていた。


「初めて会ってから二年も経つねんなあ」
 

あの時から車輪は歳を取らなくなったように見える。


ずっと一緒にいるからだろうか。


「私ももうすぐ二十歳やなあ」
 

車輪の誕生日は翌月の同じ日だった。
 

かつての女は二十歳にはとっくに結婚していたけれど、最近は二十五になっても結婚しない女もいる。


だから、車輪が後五年、待ってくれても世間的には差し支えはないのだ。
 

僕のことを本当に待てるのかと聞きたかったけど、未来のことなんて分からない。


今、僕と車輪は想い合っているのは事実だ。


それがこの先も続けばいいと思う。
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