いばら姫と王子様 ~AfterDays~
§傍に置くモノ

 └煌Side*****

 煌Side
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此の世の中は、携帯電話というものが主流だ。


年代がどうとか場所がどうとか、性別や家柄なども一切お構いなく、誰も彼もが色取り取りの携帯電話をいじっている。


今時、小学生でも持つというものを、俺は持てねえ。


理由は至極簡単。


俺がいじると火を吹くんだ。


酷え話だろ。


仕事柄、連絡を取りやすい携帯電話は必須なのによ、俺が操作するとぼっと炎が立上る。


耳に携帯をあてて話す分はいいけど、例えば通話ボタンとか…例えば数字のボタンとか押した時には、例外なく"ぼっ"だ。


携帯電話だけではない、電気が通るもの…とりわけ家電以上の精巧な造りをした、"精密機械"というものに対しては大体そうだ。


俺は電気系統というものとは相性が悪いらしい。


だから芹霞の術後は、あいつと繋がる精密機器が故障したらいけないと、俺だけ部屋の外で待ちぼうけさせられてたんだ。


しばらく芹霞の顔さえ見れないなんて、欲求不満は募るばかり。


芹霞と面会出来るようになった今でも、時間制限があるのに無性にいらついて。


会えない時間は長くて、

会っている時間は短すぎて。


しかも玲なんか、ちゃっかり芹霞の担当医などになりやがって、俺が帰った後も次の日に来る前もずっと芹霞と共に居る。


しかも何だよ、芹霞といい雰囲気じゃねえか。


何で当然という顔で芹霞の隣にいるんだよ、似非(えせ)医師めッ!!!


芹霞も何でそんなに無防備に玲を見上げるんだよッ!!?


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