いばら姫と王子様 ~AfterDays~
§繋ぎたいモノ

 └煌Side*****

 煌Side
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俺は包みを開けて、買ったばかりの男物のネックレスを取り出した。


きらきらと輝く…ミラーボール状にカットされた、小さな黒尖晶石(ブラックスピネル)が連なり、等間隔にシルバーの捻り模様(スクリュー)がアクセントに入ったそれ。


決してダイヤではない、だけど十分にダイヤの輝きを持つ黒尖晶石(ブラックスピネル)の存在感に俺は一目惚れした。


俺は基本、アクセはつけねえ。


仕事柄邪魔になるから、どうしても必要となるピアスや、緋狭姉に無理やりつけられた修行用の腕環は仕方がねえとしても、それ以外はつけてねえ。


その俺がネックレスをしようと思い至ったのは、偏に櫂への対抗心だ。


櫂も玲も、アクセサリー類は一切身に着けねえ。


玲だって守護石を裸石で持ち歩くくらい、装飾品に関しては無頓着だ。


あいつらは、眩く輝く美貌があるから、つける必要ねえだろうな。


まあ、芹霞が無駄にアクセをつけた男を"チャラ男"と嫌うから、敬遠しているのかもしんねえけど。


実は俺も、そのクチだ。


チャラチャラした頭した俺が、これ以上チャラ男になってどうするよ?


櫂も玲も、どうしてこんなに気持ちよく綺麗に並んだのか問いたくなるくらい、絶妙の位置にパーツがある。


手足も長いし、すらりとして8頭身だし、男の俺でも惚れ惚れするくらいの美しさで。


不平等だよな。


俺はこんなに安っぽい橙色で粗野なのに、あいつらの美貌は超然的で気品がある。


あいつら以上の男、俺は見たことがねえ。



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