いばら姫と王子様 ~AfterDays~


「黄色というより、金色みたい。何か、陽斗の瞳みたいだね」


だからあたしは決めた。


「玲くん、あたしこの石がいい。これって、普通のパワーストーンショップに売ってるのかな?」


光によって色が緑になったり赤になったりするなんて、特殊で何より高そうだ。あたしのお小遣いで買えるだろうか。



「……そうだね、これは……。


ふふふ、芹霞。僕がプレゼントしてあげるよ」


優しい玲くんの申し出に、あたしは手を振り辞退した。


「いいよ、自分で買う。弥生にお店に連れて行って貰うよ」


「芹霞、僕がプレゼントしたいんだよ、君に」


真剣みを帯びた玲くんの口調。


端麗な顔が少しだけ切なげに歪んだ。



「そうしたら、ずっと肌身離さず持っていて貰えるだろう?」



斜めに頭を傾げた玲くんの白い頬に、艶やかな鳶色の髪の毛がはらりと落ちた。


美しい男性のキメのポーズというのは、心臓に悪い。


玲くんは自分の美のポイントを抑えていると思う。


それが意識的か無意識的か判らないのだけれど。
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