それでも痩せたい恋物語
ダイエットなんてしたことがなかったから。
「は・・・半身浴?」
ネットで『ダイエット』と検索して、一件目のページを開く。

お風呂で痩せる方法。
歩いて痩せる方法。
そんなの辛くてできないよ。
夜ご飯抜きダイエット・・・
無理無理。死ぬっつーの。
色んなものがあったけれど、私が興味を示したのはこれだった。

「断食・・・」
固形物は一切食べずに、水で一日過ごすというダイエット。
そんなの自分にはありえないこと。
体にも悪いってことはわかってたけど出来るだけ早く体重を減らすことに夢中になっていて、正しいのかもわからないページに釘付けになった。

「まずは一日、明日からやるか、いや、あさってから?」
また甘えが出てしまう。
明日から、明日から頑張ろう。

その日は入るだけの食べ物を入れて、布団に入った。

「げ・・・」
昨晩のツケが翌朝に回っていた。
「信じらんない、なんで2キロも太るわけ!?」
昨日よりも2キロ増えていた自分の体。
鏡を見るのも嫌になって、とりあえず水を口にした。

『朝起きたらすぐ、コップ一杯の水を口にするとお腹の通りがよくなる』
それを信じながら水を口にしてみる。
・・・なんか、物足りない。当たり前だけど味がしない。
「朝ご飯」
リビングの方からいいにおいがする。
お母さんが作る朝ご飯。
「でも・・・」
自分はついさっき、痛い現実を見たばっかりだ。
辛い。正直。

けど、一度決めたものは突き通さないといけない。
家族にはダイエットだとは言わずに、「コンビニで買う」と言ってきた。
昨日まで毎日がっついていた私が急にそんなことを言うなんて。
お父さんは驚いていたし、お母さんもそうだった。
二つ上のお姉ちゃんは「元気出ないよー」とか言っていた。
ふん、私はいつだって元気だ。たとえ飯がなくても。

しかし、お姉ちゃんの予想は想像よりも早くやってきた。



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