桜色の糸*完結


「へー、いいぜ。」


男は紙を私の手の平に乗せ「ぜってぇ連絡してこい」と言い車で去っていった。


「---っ…」


次々流れる涙を下唇を噛み堪える。


--半年…


半年の間に解決策を考える。

男が諦めてくれるのを期待して…


受け取った紙を見ると男の名前と携帯番号、メールアドレスが書いてあった。


"若田 健吾(ワカタ ケンゴ)"


この日初めて嫌いな人間ができた。









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若田と会ってから半月、心は無事に退院した。


半年は接触してこないだろうと安心しきっていた私は若田を甘く見ていた。


「--しんちゃん!どうしたの!?」


朝登校して来た心の顔は赤く腫れ、青い痣や切り傷があった。


「あぁ、顔面から階段落ちた。」


嘘だとわかる言い訳。
理由を言いたくないと理解し、その場は何も聞かなかった。


"彼氏さん顔面の調子どぉ?"


若田からのメールに若田への怒りが膨らむ。


心を問い詰めても"大丈夫"の一点張り。
若田に止めるように言っても"知らねぇ"の一点張り。
私にはどうすることもできなかった…



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