さよならさえも、下手だった


まどろみの中で睡魔に負けそうになっていると不意に降ってきた声。



「なんでまだいるんだよ…」



絞り出すように発せられた掠れ声は、少し胸を痛ますような切なさを帯びていた。


そんな風に言われたら目を開けるわけにはいかなくて、私は必死で寝ている振りをする。



どうか、どうか彼が気づかないでいてくれますように。





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