さよならさえも、下手だった
旭が誇らしげに微笑む。
「ほらな。これで思い知ったろう?
”落ちこぼれ”」
言われ慣れている言葉だった。
これまで何度も言われてきた。
けれどここまで痛く重く響いたのは初めてだ。
「そうだよ」
確かに俺は落ちこぼれだ。
人ひとり殺すのだって、いつもすごく苦しんでる。
だけど落ちこぼれだからこそできることもあると思うんだ。
「悪い、音都」
ベッドにあおむけに転がる音都を上から覆いかぶさるように強く抱きしめる。
腕の中で音都がびくりと身を硬くした。
「気づかなくて悪かった」
きっと今までもサインはたくさんあっただろう。
俺はその中のどれにも気づいてやることができなかった。
本当に悪かったと思っている。