灰かぶり姫 -spinoff-
「酷いよ…」



頭を上げるとポロポロと涙を零す美由紀が見えて、今日ですら泣かせてしまった事にまた胸が痛くなった。



「雪は…酷い」


「ごめん…」


「何で今更そんな事言うの…?」


「みゆ…」


「今更そんな事言われたって困る!雪はもうここにおらへんクセに!明日からはもう会われへんクセに!」


「…ごめん」


「わ、たし…だって…ずっと雪の事…」



言い切る前に強く美由紀を抱きしめた。


言葉を発する事の出来ないよう、きつくきつく。


言わせてはいけないと思った。


例えそれが俺が喜ぶ言葉だとしても、美由紀の言う通り明日になれば俺は向こうに戻る。



会えないなら。


傍に居てやれないなら俺が美由紀を縛る権利なんてきっとないから。


どうして俺達はまだ子供なんだろう。


自分の意志だけで誰かの傍に居る事が出来ないんだろう。



傍に居たい。


離れたくない。


今まで出来なかった分、とびきり優しくしてやりたい。


2人で幸せを感じたい。




だけど、それは叶う事のない現実だと知ってる。
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