灰かぶり姫 -spinoff-
何年経っても変わらないと思うのは美由紀の部屋がいかにも女の子の部屋だという事。



ベッド脇に飾られたぬいぐるみ。


薄いピンクのカーテン。


白で統一された家具。



それでも、幼稚園の頃、俺があげた人形はすでにそこには飾られてはいなかった。


まぁ、幼稚園児の作った見た目もいびつな人形なんて、この部屋には不釣り合いも当然なんだろうけど。


ベッドに腰掛けて美由紀を待てば、トントンと階段を上がる音。


ドアが開くと共に美由紀が入ってきた。



「遅い」



別に約束してたわけでもないのに、そんな事を口にする自分。



「…ごめん」



視線を逸らしてそう零した美由紀。


目を合わせない事にほんの少し腹が立った。
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