屍都市
見事天野を撒き、二人はバスの停留所の前で立ち止まる。

「はぁっ、はぁっ…相変わらず足速いねー理子」

息を弾ませながら華鈴が言う。

「もう大会も近いしね。タイムもまた上がったんだよ」

理子はそう言ってガッツポーズを見せる。

「文武両道な校内期待の星。細身でショートヘアな理子は、こうしてまた我が校の男子生徒を虜にするのでした。まる」

ニシシと笑って茶化す華鈴。

だがそういう華鈴も、肩まで伸ばした質の良い天パの髪、平均身長に平均体重、どこにでもいそうな普通にカワイイ顔。

もてる要素は十分に兼ね備えている。

ただ彼女の場合。

「でさでさ、理子!聞いてよ!こないだの陰島の噂の続きなんだけど!」

この極度のオカルト好きがなければの話だが。

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