屍都市
暗闇に響き渡る、理子の澄んだ声。

殺伐とした空間の中、その歌声は少なからず仲間達の疲弊した心と体を癒してくれた。

「いい歌ね」

理子が歌い終える頃、純が小さく拍手する。

「雄大にはいい子守唄になったかも」

「そうですか?」

照れ臭そうに笑う理子。

「ぼ、僕もいい歌だと思います~」

「歌上手なのね、理子ちゃん」

山田と幸羽も口々に言う。

「恥ずかしいけど歌ってよかったです…」

理子はそう言ってはにかんだ。

< 227 / 241 >

この作品をシェア

pagetop