とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
俺はゆっくりとフロアの隅を移動し、奥のテーブルに設置されたソファに座った。
潤は俺に気付きこっちを見た。
俺は潤に顎で合図するとその場を静かに離れ、ゆっくり歩いて俺のそばまで来た。
小声で潤に「ご苦労」と言うと少し口角を上げた。
「一般客は強制的に退店させました。」
「…強制的…
やることは容赦ないな…お前」
ジンヤは潤と入れ替わるようにガクの隣に立つと警戒体制に入った。
俺の隣にドカッと座った虎太郎は背もたれに腕を乗せると、俺の耳元に顔を寄せた。
「間に合ったみたいだな」
「…あぁ。だがこれはチーム内の抗争だからな。
俺達は傍観するしか出来ない。」
seven内はガク派と昴派とに真っ二つに別れて睨み合いを続けていた。
「昴…なんのつもりだ?」
「それはこっちの台詞だ。
sevenは俺が仕切ってるハズなんだよ…
なのに何故お前の回りにばかりメンバーが集まる?
…俺を潰す気だろ?」
「なんの話だ。
俺はsevenになってからお前に楯を突いた事はない。」
「確かに…だがそれは表面だけだ。
俺に従う気なんてねーんだろ?」
そのやり取りを見つめていると、昴はこちらに目を向けた。
「ん?」
昴に指を差され、俺は「なんだ?」と首を捻った。