とある堕天使のモノガタリ ~INTROITUS~


先に動いたのは虎太郎だった。




床を蹴って間合いに入り竹刀を振り下ろす。




俺は軽く受け流し、瞬時に逆手に持ち換え下から竹刀を振り上げた。




「うわっ!?」




ーードカッ!!




虎太郎の脇腹に直撃して吹っ飛んだ。




放心状態の虎太郎。




「…すげー…
今何やった?…」




「…虎太郎…“マジ”でやろうぜ?」




嬉しそうな俺の顔に虎太郎は目を輝かせ、起き上がると再び構えた。




「“マジ”でか…
おもしれーじゃん!」




虎太郎は体制を低くし斜めに構え直す。




そのまま俺の懐に入り、竹刀を持つ腕を狙って来た。




俺は寸前で体を捩り交わすと身体を反転させて足を払った。




ハデに転ぶ虎太郎の喉に竹刀の先を突き付けた。




…っとそこにふと現れた人影に気付き扉に目をやった。




「隙あり!!」




「へ?…のわ!?」




起き上がる反動を利用して虎太郎が俺を蹴り飛ばした。




俺は片手を付いて後転すると扉の手前に着地した。




「…右京、何してるの?」




上から見下ろしてくる忍と目が合った。



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